遺伝子ノックアウトによる筋発生の分子機構の研究

Molecular mechanisms of muscle development

筋細胞系は細胞分化研究のモデルとして発生学の概念形成に重要な役割を果たしてきた。脊椎動物初期胚の体節において筋細胞系譜の細胞が誘導され，決定と分化過程をへて，筋組織が形成される。筋細胞系譜の決定と分化は筋分化制御遺伝子群のカスケードとクロストークによって制御されている。すなわち，Myf5あるいはMyoDが決定を制御し，myogeninによって分化が制御されている。また，myf5，MyoDによるmyogeninの誘導過程は作用点を異にする複数の増殖シグナルによってモヂュレートされている。実験発生学的解析とノックアウトマウスの詳細な解析により神経管，脊索で発現するWnts，Shhによりmyf5，Pax3が誘導され，さらにmyf5，Pax3の関与によりMyoDの発現が誘導されると報告されており，近い将来，筋発生を制御する遺伝子カスケードの全容が解明されると期待される。

The discovery of the four myogenic basic helix-loop-helix (bHLH) transcription factors MyoD, myogenin, myf5, and MRF4, each of which can activate the program for skeletal muscle differentiation has led to rapid understanding the molecular mechanisms of muscle gene regulation. Then, the function of MyoD family of myogenic regulatory factors could be addressed by mutating them and provided a following framework about the roles of these genes in specification and differentiation of skeletal muscle lineage.