今月の臨床 増えてきた子宮体癌
発生の基礎
3.発生の遺伝子・分子機構
栗秋 ユミ子
1
,
加藤 聖子
1
,
和氣 徳夫
1
1九州大学生体防御医学研究所生殖内分泌婦人科
pp.1142-1145
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903760
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癌は種々の癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活化により発生すると考えられ,さまざまな遺伝子の関与が推察される.
最近,癌の発生にgenetic instability(GIN,遺伝的不安定性)の関与が示唆されている.GINはmicrosatellite instability (MIN)とChromo—somal instability (CIN)の二つに大別できる.MINは数塩基の繰り返し配列の異常が起こるもので,この機構に関与する遺伝子としてhMSH2やhMLH1がある.CINは染色体凝集や染色分体癒合などの異常が起こるもので,これらの機構にhMAD2,hBUB1などの遺伝子が関与する.MINやCINにより塩基配列の変化,染色体数の変化,染色体転座,遺伝子増幅が生じることにより,癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活化が起こる.
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