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Shinkei Kenkyu no Shinpo Volume 41, Issue 5 （October 1997）

神経研究の進歩 41巻5号（1997年10月発行）

Japanese English

特集機能遺伝子のノックアウト

神経特異的POU転写調節因子群（Brn）の機能解析 The functions of POU transcription factors in nervous system 中井茂康 ¹ , 野田哲生 ¹ Shigeyasu NAKAI ¹ , Tetsuo NODA ¹ ¹癌研究会癌研究所細胞生物 ¹Department of Cell Biology, Cancer Institute キーワード： POU転写因子 , Brn , 視床下部の神経内分泌系の発生 , シュワン細胞の分化 , 知覚神経系の発生 Keyword: POU転写因子 , Brn , 視床下部の神経内分泌系の発生 , シュワン細胞の分化 , 知覚神経系の発生 pp.715-726

発行日 1997年10月10日 Published Date 1997/10/10

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900988

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POU転写調節因子とは，POU特異的ドメインおよびPOUホメオドメインという二つのDNA結合部位を有し，ATGCAAATをはじめとするオクタマーDNA塩基配列に特異的に結合する能力を有する転写調節因子の総称である。現在までに，哺乳類で10種を超えるPOU転写因子が単離・同定されているが，これらはPOUドメインのアミノ酸配列の相同性から6クラスに分類される。このうち，ほぼ神経系特異的に発現しているクラス皿に属するPOU転写因子（Brn-1，Brn-2，Brn-4およびOct-6）とクラスIVに属するPOU転写因子（Brn-3.0，Brn-3.1，Brn-3.2）について，ジーンターゲティング法により遺伝子欠損マウスが作成された。これらの解析から，Brn-2は視床下部の大細胞性ニューロンおよび小細胞性ニューロンの発生・発達に対し，Oct-6はシュワン細胞の分化に，そしてBrn-3サブファミリーは聴覚系・視覚系・三叉神経節・後根神経節などの知覚神経系の発生・発達に必須であることが明らかにされた。本稿では，最近報告されたこれらの遺伝子欠損マウスの解析結果および，神経系の発生におけるPOU転写因子の機能について，最新の知見を加えて概説する。

Structural analysis of three mammalian transcription factors, Pit-1, Oct-1 and Oct-2, as well as the nematode developmental regulatory gene unc-86, has led to the identification of a novel DNA binding motif, called as POU domain. The POU domain, which is conserved through these distinct transcription factors, consists of two highly conserved regions, POU-specific and POU-homeo domains. The family of transcription factors containing this POU domain was named as POU transcription factors. The varied degrees of similarities among these factors have made it possible to sort them into 6 sub-classes.