Japanese
English
特集 アルツハイマー病の発症要因
3.脳虚血および血管性要因
Cerebral Ischemia and Vascular Factors
宇高 不可思
1
,
澤田 秀幸
2
,
亀山 正邦
1
Fukashi Udaka
1
,
Hideyuki Sawada
2
,
Masakuni Kameyama
1
1住友病院神経内科
2京都大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Sumitomo Hospital
2Department of Neurology, Kyoto University Graduate School of Medicine
キーワード:
Alzheimer's disease
,
cerebral ischemia
,
arteriosclerosis
,
vascular factors
,
mixed dementia
Keyword:
Alzheimer's disease
,
cerebral ischemia
,
arteriosclerosis
,
vascular factors
,
mixed dementia
pp.211-220
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901568
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はじめに
アルツハイマー病(AD)は神経変性疾患に基づく一次変性性痴呆であり,血管障害とは全く別の機序で発症・進展するものと考えられてきた。事実,ADの診断基準にも,脳卒中発作と高度の虚血性脳血管障害(CVD)の存在は除外項目となることが明記されている1)。
しかし,近年,疫学調査の結果から,CVDや脳血管性痴呆(VD)の危険因子の一部が臨床的に診断されたAD発症の危険因子でもあることが相次いで報告されている。また,臨床病理学的研究においても,ADとVDの合併した混合型痴呆例が少なくないこと,純粋なVDは意外に少なく,潜在性のAD病変が認められる例が多いこと,痴呆を示さなかった高血圧や冠動脈疾患患者の脳では対照例に比して神経原線維変化がみられる頻度が高いこと2,3),なども報告されており,ADとVDとを互いに全く別の,除外しあうべき疾患であるとする考え方は修正を迫られている。
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