Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
老化に伴って神経細胞自身にどのような変化が生ずるかを調べる目的で,老齢動物の神経細胞の培養を試み,人工環境下における神経線維の再生能力などが老化とともにどのように変化していくかを調べた。細胞や組織培養法を老齢動物神経組織に適用するにあたり,多くの問題点があった。すなわち,神経細胞の培養手法が抱える一般的な問題点と,老齢動物という特殊な動物に付随する問題点が重なり,多くの,克服しなければならない関門があった。幸いなことに,対象とする神経細胞の種類を絞ることにより,こうした問題点が克服され,ヒト,ラット,マウス,スンクスなどの動物について,脊髄後根神経節細胞と交感神経節細胞が同一の条件で培養,比較することが可能となった。そこで,神経線維の再生を若年動物と老齢動物とで比較したところ,多くの点で違いがあることが明らかとなった。たとえば,老齢動物神経細胞では,傷から回復しにくく,したがって培養が困難であること,再生する神経線維の成長速度がおそいこと,線維がまっすぐ成長せず,ラセン状になる傾向があること,さらに,成長因子にたいして感受性を低下させていることなどが判明してきた。そうした老化に伴う神経細胞の性質の変化がどのような分子生物学的,生理学的機構によるものかを検討した。
To examine how properties of nerve cells are changed by aging, dorsal root ganglia (DRG) and sympathetic ganglia (SG) dissected from aged mammals (rats, mice, suncus, rabbits and human beings) are cultured in a chemically defined medium. Survival, growth of neurites, and membrane properties of the nerve cells from aged animals were then compared to those of young ones. DRG cells from aged rats and mice were difficult to be kept live in monolayer culture: number of live nerve cells from aged animals in culture was less than 1/4 of those from young adult ones.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.