Japanese
English
特集 イオンチャネルとレセプター―生理と病態
序文
Preface
高橋 國太郎
1
Kunitaro TAKAHASHI
1
1明治薬科大学病態生理
1Department of Medical Physiology, Meiji College of Pharmacy
pp.191
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900835
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イオンチャネルは,歴史的にはHodgkin,Huxley,Katzらの研究を源流として,神経細胞などの電気的興奮性を説明する機能単位としてHilleによって定式化された。当初は実体としては証明はなくTasakiらの膜電位変化は膜全体の相転移によるとするphysicochemicalな学説も理論的な魅力もあり,大いに議論を呼んだ。しかしその議論の中からやがて実証的な研究が発展し,シングルチャネルの電流記録,イオンチャネル蛋白の精製,イオンチャネル遺伝子の核酸配列から一次構造の決定がアセチルコリン受容体チャネル,電位依存性Naチャネルを突破口として次々に成功し,現在は膜イオン透過の実体としてイオンチャネル分子があることを疑うものはなくなった。
そして,すべての細胞の形質膜,小胞体膜にイオンチャネルは発現し,細胞の内環境と外環境,細胞内では小胞体での蓄積部位と細胞質の相互作用を担う進化的にもっとも古い基本的な機能単位であることがわかってきた。と同時にこの興味ある巨大蛋白分子の分子構造に基づくイオン透過の作動原理の研究は,単にイオンチャネル蛋白だけでなくすべての蛋白構造科学にとって,これからの夢のある課題である。
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