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I.遅発性神経細胞死の分子機構解明の意義
遅発性神経細胞死とはごく短時間の脳虚血の後に海馬CA1領域の神経細胞に起こるきわめてゆるやかな神経細胞死のことを指す。限られた状況で限られた領域に発生する虚血性神経細胞死である。しかし,類似した神経細胞死がヒトを含めた多くの動物で発生し1),海馬以外の部位やin vitroの実験系にも観察される2-4)ことから,ごく短時間の虚血による神経細胞死の一つのモデルとして注目されている。さらに,海馬CA1領域の神経細胞のほとんどすべてがほぼ同一のゆるやかな経過で細胞死に陥るので,虚血性神経細胞死の分子機構を解明するための実験系として有利であり,広く用いられてきた。
脳のなかで虚血にさらされた領域の運命は大部分の場合虚血の程度と持続時間によって決定され,血流を早期に十分再開しない限り,脳の構造破壊は避けられない。虚血は脳組織に対してきわめて破壊性である。しかし,脳虚血に続いて早期に血流再開が起こると,神経細胞の破壊が『成熟』するまでにはより長い時間を要する。その極端な実例が海馬CA1領域の遅発性神経細胞死である。
Delayed neuronal death is found in the hippocampal CAI sector following brief global/forebrain ischemia. This form of ischemic neuronal death has been a subject of experimental research since it provides substantial amount of neuronal population which die during the course of 2-4 days following ischemia. Increased extracellular glutamate has been believed to be a major factor which triggers delayed neuronal death. Glutamate binds to neuronal glutamate receptors which in turn provokes intracellular Ca2+ elevation.
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