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I.脳虚血の血流・時間依存性
脳虚血は脳の組織破壊すなわち脳の広汎な細胞死を起こす疾患であり,心筋虚血とならんで虚血性細胞死がもっとも大きな問題となる疾患である。脳虚血は脳を灌流する血管の閉塞によるのであり,脳に一次的な障害があるわけではない。したがって,脳虚血の発症前の課題は全身の動脈硬化を中心とする血管病変の理解であり,虚血発症直後の課題はいかにして速やかに根本原因である血管閉塞を解除して血流の再開を実現するかという実際的な方法の解明ということになるであろう。血管閉塞がもたらす結果は脳組織の破壊すなわち虚血性細胞死ではあるが,現実的な問題としては脳血流の問題がきわめて大きい。
すでにこの事実は1980年代のはじめには解明されていた。脳の血流がある程度下がって閾値より低下すると,脳の機能が障害され皮質の誘発電位が消失する。しかし,この血流では脳の構造的破壊には至らない。
Brain damage by cerebral ischemia heavily depends on the extent and duration of ischemia. This is mainly due to inherent vulnerability of neurons to ischemia. The best treatment currently available is to restore cerebral blood flow as quickly as possible. When the molecular mechanism of ischemic neuronal death is clearly understood, it will help us improve the treatment. Glutamate and Ca2+ have been believed to work as the triggers of ischemic neuronal damage.
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