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はじめに
アポトーシスは神経発生や免疫系の完成あるいは,不要になった細胞を速やかに生体から取り除くために機能しているが,この分子機構に破綻をきたした場合,がん,神経変性症,自己免疫疾患といった疾患になる例が知られている。システインプロテアーゼICEファミリーが線虫の細胞死の実行に不可欠な細胞死遺伝子ced-3ホモログであることが示されてから,様々な系でICE/CED-3のアポトーシスへの関与が検証されている25,28,30)。ICE/CED-3ファミリーの活性調節は細胞死のシグナル伝達機構を考える上できわめて重要であり,アポトーシス機構の破綻によって起こる神経変性症の発生機序を明らかにする新しいアプローチになるものと考えられる。ICE/CED-3を介したアポトーシスを活性化するサイトカインも明らかにされてきており,それらの受容体を介したシグナル分子がどのように作用して最終的にICE/CED-3の活性化につながるのかが中心的な問題となる。本稿ではICE/CED-3ファミリーの現在までに得られている知見について概説したい。
Programmed cell death (apoptosis) is a process by which cells carry out their own execution by activating an orderly set of genetic program. In the nematode Caenorhabditis elegans, a genetic pathway of programmed cell death has been identified. In this pathway, the function of two genes, ced-3 and ced-4, are required for cells to undergo all programmed cell death.
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