Japanese
English
特集 神経系細胞のアポトーシス
序文
Preface
高坂 新一
1
Shinichi KOHSAKA
1
1国立精神・神経センター神経研究所代謝研究部
1Department of Neurochemistry, National Institute of Neuroscience
pp.171-172
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900730
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今回「神経系細胞のアポトーシス」と題して,特集が組まれることとなった。
アポトーシスという概念はそもそも1970年初頭,肝細胞の死を形態学的に観察したものから,枯れ葉が小枝から自然落下する状態をイメージして作られたものである。すなわち細胞の核が凝縮し,白血球の核が分葉するごとく断片化が認められる。さらに細胞質も凝縮し,最終的には細胞がApoptotic Bodyと呼ばれる小さな細胞塊へと分断されていく。このような形態変化を伴う細胞死は,それまで一般的に知られていた核,ミトコンドリア,細胞質が膨化し,最終的には細胞内物質が外に放出されてしまうネクローシスと呼ばれる細胞死とは際だった違いがあったことから興味をひくこととなった。その後生化学的,細胞生物学的研究が進み,現在ではアポトーシスの定義は上記形態学的変化に加えて次の条件を満たすものとされている。すなわち,①DNAが約200 bp単位で切断され,アガロースゲルによる電気泳動でラダー状に観察される。②サイクロヘキシミドやアクチノマイシンDなど蛋白やRNA合成阻害剤で一部細胞死が抑制される。
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