特集 最近の医学の話題
色彩調節
稲村 耕雄
1,2
1東京工業大学
2理学系無機化学教室
pp.18-19
発行日 1956年8月15日
Published Date 1956/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201711
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I.手術室
近着の"新建築"6月号の1頁に大阪市立病院の手術室がでている。テレビまでとれるようになつている最新設備は十分に機能的な美しさを持つている。形からみれば,わたくしが"色彩調節"1)の色刷につかつたフランスのそれとくらべてすこしもひけをとらない。そこで説明文を読んでいるうちに医学界か建築界かいずれかがまだ色については時代遅れなのが,ひどく気にさわつた。というのは"色彩調節"がこの場合に無視されていたからである。
フランスでは手術室の壁には"はいみどり"をつかつて,強い照明光に照らされた血と肉の色の赤さをみつめる眼が白壁に映る"あおみどり"の残像のまぼろしに不快な印象をうけるのを消し,また真白な白衣がギラギラして医師の眼を疲れさせ,視力をにぶらせるのを逃げるために"はいみどり"色の手術衣をつかつている。
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