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特集 創刊20周年記念 第2部
内因性精神病の人間学的理解—「内因性」の概念をめぐって
Anthropological Conceptions of Endogenous Psychoses
木村 敏
1
Bin Kimura
1
1名古屋市立大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Nagoya City University School of Medicine
pp.573-583
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202942
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Ⅰ.単極性うつ病における内因性
いわゆる「内因性」精神病の発病機制についての精神病理学・身体病理学両側面からの検索が進むにつれて,従来漠然と「原因不明」の意味で用いられてきた「内因性」の概念は改めてより精密に規定しなおさなくてはならなくなった。この問題に正面から取り組んだ研究としては,最近では周知のTellenbach, H. 36)のエンドン論があるが,エンドン論に対する評価は後に述べることにして,われわれもひとまずTellenbachと同様いわゆる「単極性うつ病」を出発点にして,その発病に至る経過をいくつかの節目で押さえておきたい。
中年以降にかなり特異的な状況変化にひき続いて典型的な抑うつ病像をもって発病する単極うつ病(笠原・木村11)によるうつ病分類の「第Ⅰ型」)は,その頻度5)の上からも,治療過程の全体が見渡しやすい点からも,病前人格や発病状況についての精神病理学的知見がかなり出揃っている点からも,内因性精神病の発病機制を考えてゆく上で絶好のモデルを提供してくれるものと期待できる。
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