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はじめに
脳においてNOが産生されると報告されてから1)すでに6年が経過した。この間神経系のNOについての論文数は急速に増加の一途をたどっている。末梢ではNOは着実にその生理学的役割・位置づけについて解明されつつあるように思える。しかし中枢では本来の系の複雑さもあって,6年間といえども十分な解明がなされたとはいいがたい。現状を一言でいえばNOが関与する多彩な現象をあぶりだす段階が終了しつつあり,仮説の立証や生き残りをかけた厳密,かつ着実な研究が要求される段階が始まりつつあるというところであろうか。
NOの機能を考える上で重要なのは,なぜ,このようなガス状ラジカルが生体において必要とされるかということである。その答えはたぶんNOの物質としての特性によって初めて可能になるタイプの生体内情報伝達機構の生理学的意義を考えれば説明できるであろう。すなわちNOがガスであるが故に細胞膜や組織中を自由に拡散でき,その結果通常の伝達物質のように開口分泌や膜表面の受容体との結合を介さないでNOの拡散により細胞から細胞へ直接情報を伝達する情報伝達の仕組みが可能になる。またNOは不安定で生体内ではせいぜい数秒の半減期で分解されてしまう。また血液中のヘモグロビンに親和性が高く,容易に作業場から運び去られてしまう。この拡散性や半減期はNOによる情報伝達系の空間的な作用半径や時間的な応答性を決定する。
NO is thought to work as an intercellular messenger in hippocampal long-term potentiation (LTP) and cerebellar long-term depression (LTD). In the cerebellum, simultaneous activation of parallel and climbing fibers evokes long-term depression (LTD) of the parallel fiber/Purkinje cell synapses. Since parallel and climbing fibers terminate at different loci of Purkinje cell dendrite, there must be some basal mechanisms which enable heterosynaptic interaction for evoking LTD.
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