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はじめに
哺乳動物の三叉神経運動核(Vm核)には咀嚼筋を支配する運動ニューロン(MN)のほか,鼓膜張筋や口蓋帆張筋を支配するMNが含まれる。咀嚼筋MNのうち,閉口筋MNはVm核の背外側亜核を形成し,開口筋MNはVm核の腹内側亜核を形成するが106,107),鼓膜張筋MNはその他のVm核MNとはやや離れて(腹方ないし腹外方)独立の小群を形成しており109,170,179)蝸牛神経核からの投射線維を受ける56)。また,口蓋帆張筋MNはVm核背内側亜核の内側縁の付近に分布するが,少数である113,190)。以上のようであるから,Vm核の主部は主として咀嚼筋MNによって形成されるといえる。
大脳皮質や扁桃体を刺激すると顎運動が起こること,また,大脳基底核が損傷されると顎運動の異常が起こることがあること,は古くから知られている。以下では,大脳皮質(主として運動野と運動前野),大脳基底核(淡蒼球外節,淡蒼球内節または脚内核,および黒質)および扁桃体(主として中心核)からVm核,とくに咀嚼筋MNへの直接的な投射系について概説する(図1)。
This review describes descending projections from the cerebral cortex, basal ganglia, and amygdala to the trigeminal motor nucleus, the main constituents of which are masticatory motoneurons. Neuronal signals from pyramidal cells in layer V of the sensorimotor and premotor cerebral cortical regions are usually mediated to the trigeminal motor nucleus via interneurons in the lower brain stem, although some cerebral cortical fibers have been shown to end directly within the trigeminal motor nucleus in the macaque monkeys, chimpanzee and man.
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