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特集 三叉神経系
三叉神経系の形態—運動核を中心とする線維連絡
Fiber connections of trigeminal motor system
水野 昇
1
,
岩堀 修明
1
,
中村 泰尚
1
,
小西 昭
1
,
佐藤 学
1
Noboru MIZUNO
1
,
Nobuharu IWAHORI
1
,
Yasuhisa NAKAMURA
1
,
Akira KONISHI
1
,
Manabu SATO
1
1京都大学医学部解剖学第一講座
1Department of Anatomy, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.971-984
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903676
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Ⅰ.三叉神経運動核の筋支配
三叉神経運動核(V mot核)は,ヒトでは一側で5,000〜6,000個の運動性神経細胞を含み98,99),咀嚼核ともよばれるように咀嚼筋ないし閉口筋を支配するが,個体発生上は顎骨弓に属する神経であるから,その支配領域は顎骨弓由来の横紋筋(顎骨弓筋)のすべてにおよぶ。すなわち,V mot核は閉口筋のほかに顎二腹筋前腹・顎舌骨筋・口蓋帆張筋・鼓膜張筋をも支配する。哺乳類のV mot核は動物の種類によってその構造に大きな違いはないが,ウマや食肉類とくにアザラシ・イヌなどできわめてよく発達しており,一方,歯牙を持たないアリクイや咀嚼筋の発達程度が著しく低い単孔類では比較的小さいことが知られている39)。
V mot核には,他の運動神経核の場合と同様,神経細胞が数個の細胞群に分かれて存在する傾向が見られる(図1〜3)。ヒトのV mot核についてJacobs36)は背側群・中間群・腹側群・後三叉神経核(posterior trigeminal nucleus)を区分しており,ウサギについてはMeessen and Olszewski62)がα・β・γの3亜核を区分しているが,このうちのα核は後三叉神経核に相当し,β核とγ核はそれぞれ腹側と背側に位置する細胞群である。ネコについてはBerman5)により背側群と腹側群が記載されている。
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