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はじめに
舌からの味覚情報は三叉神経を経由して中枢に送られるのか,それとも鼓索神経を経由するのか,1800年代の前半から100年以上にわたってこの問題が論争されてきた。種々の臨床症例や動物実験をもとに,50年ほど前にその決着がつき,舌前方2/3からの味覚情報は鼓索神経により運ばれるとされ現在に至っている。最近,ラットの口蓋粘膜に存在する味蕾様構造物が三叉神経により支配されているとの解剖学的知見が報告されている10)ものの,味覚情報伝達に三叉神経が直接関与するという見解には一般的には否定的である。
しかし,三叉神経が障害されると,味覚感受性も影響を受ける症例が存在することも事実であり,正常な味覚発現には,三叉神経を介する触,圧,温,冷,痛などの一般体性感覚情報も重要な役割を演じることが示唆されている6)。したがって,本稿では,味覚情報の中枢伝導路およびその機能的重要性を述べるうえで,三叉神経を介する一般体性感覚入力路との密接な関係および両者の相互作用にも言及しつつ解説したい。
The nucleus of the solitary tract receives taste inputs via the chorda tympani, greater superficial petrosal nerve, glossopharyngeal nerve, and vagus nerve, all of which convey taste messages from the taste buds located on the anterior tongue, soft palate, posterior tongue, and epiglottis, respectively. The second relay nucleus for ascending taste inputs is the parabrachial nucleus of the pons. The third relay nucleus is the medial parvicellular component of the ventrobasal complex of the thalamus, which sends axons to the cortical taste area. In monkeys, neurons from the gustatory area of the solitary nucleus directly reach the thalamic taste area.
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