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納らがHTLV-I-associated myelopathy(HAM)の疾患概念の提唱と同時に,本疾患に副腎皮質ホルモンが有効であることを報告して以来1),既に5年の歳月が経過した。これまでに,本疾患に対して種々の治療が試みられ,その結果も集積されてきた。また本疾患に関する研究は飛躍的発展を遂げ,病態に関する理解も深まっている。ところで,本疾患に種々の免疫学的異常が存在し,病態の一面を形成していることは,治療を考えるうえで重要と思われる。またウイルス感染症という側面から考えると,輸血と母子垂直感染が重要な感染経路であることが判明し2,3),輸血時の抗体スクリーニング,抗HTLV-I抗体陽性の母親に対する授乳指導などが,既にHAMやAdult T-cell leukemia(ATL)の発症予防に効果をあげている4~6)。本疾患の治療は,これまで「有効な治療法がない変性疾患」と考えられていた痙性脊髄性麻痺に対して,副腎皮質ホルモンが奏効するというセンセーショナルなスタートで始まったが,他方面の研究の進歩に比べると,治療についてのその後の進歩は少なく,未だに十分な治療法が確立されたとはいえないのが現状である。表1は,これまでに報告された主な治療法とその成績を示している。大部分が非特異的免疫抑制療法であり,脱髄性疾患やその他の自己免疫性疾患で行なわれている治療の応用と考えられるものが多い。本稿では,これらの治療のうち,副腎皮質ホルモン療法,血漿交換療法,インターフェロンα療法を中心に自験例を含めて概説し,治療の現状と問題点について考察する。
Various methods of treatment have been used in patients with HAM/TSP since the concept was proposed. Most involve modulation of the immune system and include corticosteroids, plasmapheresis, interferon-alpha, and high-dose gamma-globulin.
Oral prednisolone was the first agent shown to be effective in HAM/TSP and is now the most common treatment; 74.0% of patients respond. Unfortunately, the effect is decreased with dosage reduction, and prolonged steroid treatment is often associated with serious complications. The mechanism by which corticosteroids modify HAM/TSP is still unclear. It is reported, however, that spontaneous proliferation of peripheral blood lymphocyte (PBL) seen in HAM/TSP patients is reduced by prednisolone treatment.
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