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はじめに
“NMR画像はあまりに雑で科学的な解析の対象となり得ない”―これが1983年頃のNMR画像に関するある高名な物理学者の評価であった。これはNMR画像の撮像系に誤差要因が多かったこと,および生体組織の不均一性と不安定性が大きいことを指摘したものである。しかし,その後撮像系の誤差が小さくなるとともに,生体組織の不均一性,不安定性をそれ自身としてNMR画像で評価できるようになった。NMRを用いて生体組織内物質を定量すること,あるいは数学的に取り扱えるような形で生体組織の性質を計測することは現在でも困難であるが,生体組織の不均一性,不安定性はそれ自体が生体組織の特質を示していると考えられる。そこで不均一性,不安定性そのものを画像の中に読み込んでいくことによって,NMR診断では生体組織の性質を解析できると考えられる。NMR撮像系安定化とともに臨床の場で評価が可能となった中枢神経系組織の,あるいは病変に伴う不均一性,不安定性には,次のようなものが挙げられる。
1)化学シフト効果による偽像あるいは画像の移動,2)化学シフト効果による選択励起面の位置誤差,3)化学シフト効果によるエコー時間依存性の信号強度振動,4)局所磁場の不均一性による信号減衰,5)流体効果,6)組織水の拡散あるいは組織内微小循環による信号の減衰効果
Excellent soft tissue contrast and superb spatial resolution are among the good features of NMR images for evaluating the macroscopic pathologies in the central nervous system. In the selected pathologies, however, NMR imaging can offer opportunity of tissue characterization. The authors are discussing on the following categories in NMR tissue characterization.
1. Characterizing the neutral fat (adipose tissue) based on the observation of chemical shift-related phenomena.
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