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I.はじめに
1946年にPurcell1)とBloch2)によりその原理が実験的に確かめられて以来NMR (Nuclear magnetic re—sonance)は物理,化学の分野において化合物の構造決定,化学変化などの研究に欠かせない分光学(spectro—metry)の手法となり今日に至っている。NMRの生体への応用の先鞭をつけたのは1973年にMoonら3)がインビトロで赤血球の内部のpHをリン(31P)のスペクトルの化学シフトを用いて測定した論文である。同年Lauterbur4)はプロトン(水素原子核)を対象としてNMRを用いて2次元での画像を構成することに成功し,これがNMR断層撮像装置の開発の原動力となった。その後1970年代を通じてインビトロで高エネルギーリン酸化合物を対象として生体の代謝の研究が続けられていたが,1977年Hinshawら5)によってヒトの前腕の断層像が発表され,生体のプロトンNMRイメージングが現実のものとなった。その後のプロトンイメージングは日進月歩で1980年には全身用のNMR撮像装置が臨床用に稼動を開始し,1984年には化学シフト情報を含んだプロトンの画像化にまで至っている。一方,高エネルギーリン酸化合物の面では初期にはNMRスペクトロメータのため試量の大きさが制限されておりインビボの測定が不可能であったが表面コイル(surfacecoil)の開発60により小動物またはヒトの前腕などでのインビボ測定が可能となり,近年は全身用NMR撮像装置に静磁場均一度の高い超伝導磁石が用いられるようになったこともあって,プロトン用の撮像装置でリン酸化合物のスペクトルが得られるようになってきた。現在は装置の性能の向上によって,プロトンによる解剖学的断層像とリン(31P)または他核種による代謝測定が臨床において結合しようとしている時期ということが出来る。
NMRの医学への応用は多岐にわたっており,これをコンパクトな形にまとめることは不可能に近く,本論では主として臨床医の立場からみたNMRの応用について概観したい。
Application of NMR, whether in imaging or in spectroscopy, is evolving rapidly and its clinical feasibility is to be fully assessed. It is not clear if speculation today will hold true tomorrow, but here present status of NMR in medicine, espe-cially in its roles in research of the central ner-vous system are discussed as follow;
NMR imaging in 1. brain tumors
2. cerebrovascular diseases
3. degenerative disease
4. trauma
5. spinal cord diseases
Imaging by surface coil
Contrast material in NMR imaging
Blood flow measurement by NMR
Chemical shift imaging
Studies of metabolism by 31P NMR spectroscopy
Recent advances and possible future role of NMR in medicine.
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