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I.はじめに
多細胞生物の基本単位は細胞である。同じタイプに分化した細胞が寄り集まって組織(器官)がつくられ,さらに種々の組織が統合されて個体となる。どのようにして細胞から個体が形成されていくのだろうか。これは古くから多くの研究者の興味を引きつけるテーマであり,前世紀から活発な研究が進められてきた。今世紀半ばになって,細胞同士が相互に作用し合いながら増殖・分化・移動して個体が形成されていくことが明らかにされてきた。
組織の中で,長い神経突起(軸索)を伸ばして信号を送っている神経系は,とくに複雑精緻を極める。神経組織を構成する細胞種は,神経細胞(ニューロン),神経膠細胞(グリア),血管を構成する細胞(血管内皮細胞など)で,その外側を取り囲んで細胞外マトリックスが存在する。これらの細胞種は相互にどのように作用し合っているのだろうか。神経細胞は実に多種多様である。神経細胞は発生の初期に,いかにそれぞれの機能を備えるように分化していくのだろうか。神経細胞は神経突起を伸ばし,標的細胞とシナプスと呼ばれる結合部位を形成し,機能的に連携する。シナプスを形成できなかった神経細胞は死滅する。脊髄から筋肉まで伸びる運動神経の突起の中には1mにも及ぶものがある。
The advent of modern biochemical techniques such as monoclonal antibody technique, tissue culture technique, cloning of nucleic acids are of particular relevance to the study of neural trophic factors when the limited amounts of material available present problems.
Neurotrophic factors (NTF) are molecules which support the survival of developing neurons and are necessary for the maintenance of differentiated neurons. For nearly four decades, the only known NTF has been nerve growth factor (NGF).
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