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I.はじめに
1.何故ガングリオシドに注目しているのか ガングリオシドは,シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質(糖と長鎖脂肪酸のほかに長鎖塩基であるスフィンゴシンまたはフィトスフィンゴシンその他をもつ脂質)の一群(図1,2)で,生体膜の構成成分である。Klenk, E. が遺伝性代謝疾患であるティーザックス病患者(GM2蓄積症)の脳から初めて見出したことから,脳(ガングリオン)由来にちなんでこの名がついている1)。糖脂質の分離精製,構造解析法が著しく進歩してきたことにより,多種多様なガングリオシドが動物の種・臓器を問わず存在することがわかってきた。さらに,発生過程に特徴的に出現するものや,特殊な細胞に特徴的に存在するものも知られている。それらは細胞周期・増殖・分化・ガン化に伴い劇的に変化する2)。その変化は直接的・間接的に遺伝子レベルでの支配を受けている3)。したがって,多様なガングリオシドが何らかの意味があって何らかの法則に従って,生成・消滅していくものと考えられる。
それでは,ガングリオシドの機能・役割は一体何であろうか。
Ganglioside has a particular significance in neural differentiation and development. For several years, we have been investigating the trophic effect of gangliosides in the nervous system. Especially, we have been studying the neuritogenic effect of gangliosides on neuroblastoma cell lines. In this review, I will summarized recent progress of neuronotrophic effect of gangliosides on the neural cell lines, especially emphasizing the work of our group. Up to the present, we found two types of neuritogenesis when gangliosides were exogenously added to the culture medium.
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