特集 緩和ケア実践マニュアル Start Up & Beyond PEACE
Part3 症状別緩和ケアスキルBeyond PEACE
せん妄
上村 恵一
1
1国立病院機構北海道医療センター精神科・緩和ケア室・認知症疾患診断センター
pp.96-101
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200378
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総論
せん妄にどう気づくか
せん妄というと、幻覚、興奮、拒否などケアに苦慮する激しい症状がまずイメージされるが、それらの出現頻度はそれほど多くない。むしろ、進行がん患者のせん妄における必須症状は「注意力低下」と「睡眠覚醒リズム障害」であり、これらは97%に起こる1とされる。
他の症状の出現頻度では短期記憶障害88%、見当識障害76%、多動・寡動62%、情動不安定53%、幻覚50%と報告されている2。興奮が強く、幻覚もあり、不眠が目立つ症例はまず見逃されることはない。つまり、せん妄の見逃しを減らし介入しようとするには、軽度でも注意力の低下を見抜くことが大切である。
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