増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅱ. 婦人科編
❸術後合併症への対応法
せん妄
金村 昌徳
1
1独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター産婦人科
キーワード:
術後せん妄
,
高齢者
,
危険因子
,
予防
Keyword:
術後せん妄
,
高齢者
,
危険因子
,
予防
pp.150-154
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211217
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遭遇しやすい典型ケース
症例は80歳.偶発的に発見された卵巣腫瘍のため他院より紹介された.MRIでは卵巣がんを疑う所見があり,開腹手術が必要と判断した.本人は最近物忘れがひどく,話の辻褄が合わないことが多くなってきたので軽い認知症ではないかと患者家族から疑われている経緯があったが,外来受診の段階では意思の疎通も良好で,術前の手術説明に対しても理解良好であったため予定通り手術を施行した.腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,大網部分切除が施行された.既往に弁膜症の治療歴があり抗凝固薬を内服していたため硬膜外麻酔は併用せず全身麻酔のみで手術を施行した.手術時間は3時間,出血量は200mLで手術終了した.手術当日は傾眠傾向が強く入眠がちであったが術後1日目の夜間,看護師が訪床時にうわごとのように何かをつぶやきながら点滴のルートを引っ張っているのを見つけた.危険であるためルートを触らないように指導するも「自宅へ帰る」とルートを引っ張り続け,個室であるにもかかわらず「悪者に襲われた」などの幻覚を疑う言動があり,看護師2人で制止するもベッドから立ち上がろうとする行動が続いた.
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