連載 ID consult—がん患者の感染症診療[5]
がん患者とインフルエンザワクチン
倉井 華子
1,2
1JOIS(Japanese Oncological Infection Society)
2静岡県立静岡がんセンター感染症内科
pp.329-335
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200204
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はじめに
インフルエンザは毎年12月〜翌年3月にかけて流行する(Fig.1)1。人口の2〜10%が感染するとされ、2016年度の推定患者数は約1,500万人であった1。65歳以上の高齢者、基礎疾患をもつ患者は重症化および死亡のリスクが高い2。がん患者は化学療法や基礎疾患から高リスク群に入り、ガイドラインでワクチン接種が強く推奨されている3,4。しかし、当センターで外来を行なっていると、「抗がん剤投与中だから打てないと思った」「入院が重なって打つ機会を逃した」「必要ないと思っていた」というがん患者の声を聴く。一方で、主治医の推奨がきっかけで接種する患者は多い5。
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