連載 臨床医のためのワンテーマ腫瘍病理[3]
「そしてDRもいなくなった—化学療法後のDR」
市原 真
1
1札幌厚生病院病理診断科
pp.350-351
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200091
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化学療法後に手術された患者さんの標本を拝見していつも悩まされるのは、組織学的化学療法効果判定です。「がんの約1/3未満でがん細胞の変性・壊死がある」「がんの1/3以上2/3未満でがん細胞に変性・壊死・融解がある」といった文言とともに判定を行なうのですが、いつも「ほんとに病理医が見たままを書いてよいのだろうか?」という疑問が湧き上がります。
例えば乳がん。皮膚浸潤を有する5cm大の浸潤性乳管がんに対し、術前化学療法が行なわれ、手術標本ではがんが1cm位の範囲に限局していた、というケースを想定します。腫瘍ボリュームは、体積としては1/5の3乗、つまり1/125になっているわけです(中心壊死や腫瘍分布の偏りなどは一旦無視します)。画像や病理切片の面積で考えたとしても1/25ですね。
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