特集 知っておくべき!モノクロな薬たち(注:モノクローナル抗体の話ですよ〜)
【第2部 これは知っておきたい!モノクロな薬たち(腫瘍性疾患)】
❸乳がんに使用されるモノクローナル抗体—トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン、トラスツズマブ デルクステカン
金子 貴大
1
,
清水 千佳子
1
1国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科
キーワード:
乳がん
,
HER2
,
抗体薬物複合体
,
心毒性
,
間質性肺炎
Keyword:
乳がん
,
HER2
,
抗体薬物複合体
,
心毒性
,
間質性肺炎
pp.694-698
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204325
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CASE
トラスツズマブ、ペルツズマブによって心不全をきたした1例
患者:50代、女性。HER2陽性転移性乳がんと診断され、第一選択でのパクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法が開始された。開始前の心エコーでの左室収縮率(LVEF)は60%であった。治療開始後、腫瘍は縮小傾向だった。しかし治療開始6コース目(4カ月後)頃から起坐呼吸が出現し、LVEF 30%と胸水貯留を認め、うっ血性心不全と診断された。スピロノラクトン25 mg/日、フロセミド20 mg/日、ビソプロロール2.5 mg/日、ロサルタンカリウム25 mg/日が開始され、症状は改善し、治療開始1カ月後のLVEFも45%となった。その間、抗HER2薬は中断せざるをえず、中断中に転移巣の増大が見られた。心機能が正常下限の状況で抗HER2薬を再開するのはリスクが高いと判断し、本人と相談のうえでカペシタビン単剤での化学療法を行う方針となった。
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