特集 —疾患別“イルネススクリプト”で学ぶ—「腹痛診療」を磨き上げる22症例
【症例集Ⅴ】さまざまなポピュレーション×腹痛
❻—在宅認知症患者—下部消化管穿孔
原田 拓
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1練馬光が丘病院 総合救急診療科 総合診療部門
キーワード:
慢性便秘
,
宿便
,
下部消化管穿孔
,
宿便性消化管穿孔
Keyword:
慢性便秘
,
宿便
,
下部消化管穿孔
,
宿便性消化管穿孔
pp.580-581
発行日 2023年5月15日
Published Date 2023/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204288
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case
患者:89歳、女性。施設入所中。要介護3、ADLは車椅子程度。
主訴:排便後の腹痛
既往歴・併存症:Alzheimer型認知症、大腿骨頸部骨折術後、慢性腰痛症、慢性便秘症(p. 536)、慢性腎臓病、高血圧症、過活動膀胱
薬剤歴:抗精神病薬、弱オピオイド、瀉下薬、降圧薬、抗コリン薬
現病歴:もともとADL低下および薬剤による慢性的な便秘があり、エロビキシバットやルビプロストンと時折の瀉下薬で対応していた。往診前から数日間排便がなく、腹部膨満も出てきた。連日、睡眠前にセンノシドを内服したが、硬い便が少量出るのみだった。日中にグリセリン浣腸(120 mL)を行ったところ、怒責して中等量の排便は得られたが、その前後に急に下腹部痛を自覚し、普段の浣腸後の疼痛とは様相が違うため往診依頼となった。
身体所見:身長158 cm、体重61 kg。GCS(Glasgow Coma Scale)E4V4M6、体温36.4℃、血圧146/92 mmHg、脈拍数104回/分、呼吸数20回/分、SpO2 97%(室内気)。
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