【臨床小説—第二部】後悔しない医者|今と未来をつなぐもの・第29話
日々共有する医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1156-1161
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203949
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
右井が誤った診立てをした。患者は75歳・女性、機能性の下痢に対して処方された漢方薬(半夏瀉心湯)による「薬剤性肺障害」を見逃しそうになったのだ。数日前に診療していた向後も、その徴候に気がつかなかった。しかし西畑が「なんとなく変」という違和感から見抜き、幸い事なきを得られたのだった。なぜ気づいたかを右井が問うと、西畑は「聴こえた」と答えた。西畑は聴診を行ったわけではない。いったい何が聴こえたというのか?
誤りがないよう細心の注意を払っても、それでも間違うことはある。誰かが気づき、カバーする。そのための「チーム」であり、そして「カンファレンス」がある。互いの診療を共有し、屈託なく語り合う向後チームのありようには、さまざまな可能性が広がっている。そして今日も、向後チームは新たな患者さんに向かい合う。
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