【臨床小説—第二部】後悔しない医者|今と未来をつなぐもの・第34話
責められた医者
國松 淳和
1
1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.236-243
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204177
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
向後チーム恒例の入院カンファレンスにて、右井が気になる症例を相談し始めた。患者は69歳・男性、主訴は全身の浮腫である。1カ月前から浮腫および尿量減少があり、半月ほどでズボンのチャックが閉められなくなるほどにむくんできた。呼吸困難感を伴うようになって入院し、「心不全+感染症」として治療を開始するも改善しない。検査結果では、炎症反応が高く、尿蛋白も認められたが、抗体はすべて陰性、血培も陰性だった。諸症状が悪化するなか、血小板数が10日足らずで18・1万から4・9万/μLに著減するも、これという診断がつかず右井は悩んでいた。西畑の提案で、急きょ東京の黒野チームに遠隔相談することになったが…。
本連載は、いよいよ次号で最終回を迎える。ここで改めて本連載の主題を言えば、それは「時間」であった。時に病状は一気に進み、診断や治療を待ってはくれない。本エピソードでは、いかに早く的確な診断をつけるかを、向後チームが問われる。一方で、未来へと同じ速度で一方向に進むかのように見える、「臨床」における時間の重層性を垣間見ることにもなる。
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