特集 —どうせやせない!? やせなきゃいけない??苦手克服!—「肥満」との向き合い方講座
肥満は「病気」か?
❷—肥満をめぐる倫理的問題—医師は「スティグマ」にどう向き合うべきか?
玉手 慎太郎
1
1学習院大学 法学部政治学科
キーワード:
個人の尊厳
,
スティグマ
,
ルッキズム
,
ボディ・ポジティブ
,
ヘルシズム
Keyword:
個人の尊厳
,
スティグマ
,
ルッキズム
,
ボディ・ポジティブ
,
ヘルシズム
pp.825-829
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203807
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Case
相談者:45歳、女性。医師。
病院での仕事を終えて家に帰ると、リビングで娘(高校1年生)が泣いていた。事情を聞くと、学校でクラスメイトに「ぼってりマリトッツォ」と呼ばれ、からかわれたのだという(娘の名前はマリという)。実のところ、たしかに娘は過体重であり、医師としては健康上の観点から、やせる必要があるとつねづね心配に思っていた。
今回の出来事は、娘に日々の運動や食生活の改善を求めるよい機会かもしれないが、しかしそうすることは、彼女を容姿によって否定するクラスメイトたちに加担することになる。他方で、「それはからかうほうが悪いのだ。太っていることは、あなたの個性だ。マリトッツォのイメージは、むしろふんわりしていてかわいいと思う」と言うこともできるが、そうすると娘は太っていることを肯定的にとらえ、過体重は継続し、疾患のリスクは高いままとなるかもしれない。どうすればよいだろうか?
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