特集 —どうせやせない!? やせなきゃいけない??苦手克服!—「肥満」との向き合い方講座
【総論】「健康問題」としての肥満
❷肥満の疫学と社会的決定要因—“下流”における「公衆衛生」実践のススメ
本間 陽一郎
1
1聖隷浜松病院 総合診療内科
キーワード:
疾病負荷
,
GBD
,
健康の社会的決定要因
,
SDH
,
砂糖入り飲料
,
SSB
,
スティグマ
,
グローバル・ヘルス
Keyword:
疾病負荷
,
GBD
,
健康の社会的決定要因
,
SDH
,
砂糖入り飲料
,
SSB
,
スティグマ
,
グローバル・ヘルス
pp.805-808
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203800
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世界で「肥満」が問題に
現在、世界の人々は、どんな理由で苦しんでいるのだろうか? 疾病により失われた生命や生活の質を評価する指標として、「疾病負荷(global burden of disease:GBD)」がある。米・ワシントン大学医学部の保健指標評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation:IHME)が主導する「GBD研究」は、障害や生活の質の度合いを考慮した健康指標を用いた世界的な観察疫学研究で、更新ごとに『Lancet』で特集されている。最新(2019年)のGBD研究では、204の国や地域からデータが集められ、369の疾病や外傷、それらの疾病に至った87のリスクが列挙されている1)。
最新のGBDレポートによると、世界の健康は確実に改善している。世界の平均余命は、2000年の67.2歳から、2019年には73.5歳へと増加していた。さらに健康寿命は、204の国・地域のうち、202で増加していた。世界における疾病構造の変化も読みとれる。1990年は「下気道感染症」や「下痢症」などが上位だが、2019年では「虚血性心疾患」「脳卒中」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」「糖尿病」などが取って代わった2)。
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