【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第19話
人にないものをもっている医者
國松 淳和
1
1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1328-1333
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203435
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
前回までのあらすじ 今月のナゾ
「本当に要るのかって、看護師さんの価値観でそんなのわかるんですか!?」。前回、初期研修1年目の五明が、看護師たちと一触即発の事態を演じた。問題の患者は80歳・女性、卵巣がんの末期で腹膜播種を伴い、アルコール性肝硬変や種々の合併症で入退院を繰り返している。今回の入院契機は蜂窩織炎だが、腹水を抜くべく腹腔穿刺の準備を依頼したところ、看護師は患者がDNARを希望していることから懸念を表明したのだ。その直前、五明は自ら採血を行い、血液培養検査も提出していた。初期研修2年目の宮川は「蜂窩織炎の血培の陽性率は高くない」と異を唱えたが、その結果は…。
内科と言えば「臨床推論」だ。卓越した臨床医のそれは、時に“名探偵”にも例えられる。進路も定まらぬ時期の初期研修医にとって、指導医の推論の理路はブラックボックスのように思えるかもしれない。黒野は、指導医たちは、悩める研修医をいかに導いていくのか?
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.