特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで
【感染性肺炎】
❷細菌性肺炎—肺炎球菌性肺炎など
喜舎場 朝雄
1
1沖縄県立中部病院 呼吸器内科
キーワード:
細菌性肺炎
,
肺炎球菌性肺炎
,
患者背景
,
喫煙歴
,
市中肺炎
,
身体診察
Keyword:
細菌性肺炎
,
肺炎球菌性肺炎
,
患者背景
,
喫煙歴
,
市中肺炎
,
身体診察
pp.162-166
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202987
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ピットフォールCase❶
妊娠女性の市中肺炎で初期は抗菌薬のみで対応された1例
患者:41歳、女性。
既往歴:特記事項なし、喫煙歴なし。
現病歴:2回目の妊娠で胎児と母体も安定していた。3日前から湿性咳嗽が見られ、2日前から38℃を超える発熱も伴い、30分前後の悪寒も1回あり、当院救急室を受診した。バイタルサインは血圧110/74mmHg、脈拍数108回/分、呼吸数28回/分、体温38.6℃、意識清明、SpO2 93%(室内気)。身体診察で右肺底部にcoarse cracklesを聴取し、胸部X線写真で右の心陰影の一部を消失させる陰影あり(図1矢印)。血液検査での白血球数も10,500/μLと上昇しており、喀痰の塗抹検査でもグラム陽性双球菌が確認でき、肺炎球菌性肺炎として抗菌薬(アンピシリン)を1日4gで開始した。しかしながら3日間投与しても37℃台で微熱は続き、薬剤熱も考えてベッドサイドで診察。新規の発疹はなかったが、右の乳房の下もしっかり聴診すると、吸気時に低調な単一な連続性雑音が聴取され、改めて入院時の胸部X線側面像を確認したところ、右中葉の無気肺を伴う陰影であることが判明した(図2矢印)。以上から、抗菌薬は継続しながら、ネブライザーを1日4回吸入してもらって固めの喀痰が排出されるようになり、第5病日から解熱してきた。
▶Case 1の教訓:特に女性の診察では乳房の下の聴診がスキップされがちであるが、状況に応じて聴診したい。また、胸部X線側面像は中葉や舌区の肺炎や無気肺の評価には極めて有用である1)。
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