特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!
【System 2 理詰めで追い詰める感染症】
祇園にて 耳をすませば 三味の音
北 和也
1
1奈良県立医科大学附属病院感染症センター
キーワード:
マイコプラズマ肺炎
,
Mycoplasma pneumoniae
,
非定型肺炎
,
late inspiratory crackles
Keyword:
マイコプラズマ肺炎
,
Mycoplasma pneumoniae
,
非定型肺炎
,
late inspiratory crackles
pp.733-739
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103307
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Case
患者:生来健康な28歳,女性.
主訴:発熱,咳嗽.
病歴:12月上旬.X-7日,起床時から倦怠感と悪寒,軽度の咽頭痛,耳痛を自覚していた.翌日37℃台の発熱,頭痛および咳を認め,近医を受診した.インフルエンザ迅速検査は陰性であり,アモキシシリンと解熱鎮痛薬を処方された.しかし乾性咳嗽は徐々にひどくなり,睡眠にも支障をきたすようになった.X日,38℃台の発熱を認め,総合病院を受診した.夫,3歳女児(幼稚園児)と生活している.来院時血圧108/64mmHg,脈拍90回/分,体温38.2℃,呼吸数24回/分,SpO2 98%.受け応えははっきりしているが,呼吸数はやや速く少しつらそうである.咽頭は軽度発赤.頸部リンパ節腫脹なし.胸部cracklesは聴取しないが,右呼吸音は減弱していた.右肺炎を疑い,胸部単純X線撮影を実施したところ右下肺野に浸潤影を認めた.喀痰のグラム染色には好中球は認めるものの細菌は認めず.娘が2週間前に同様の症状を呈していたこと,非定型肺炎スコア(J1)を参考にし,非定型肺炎を疑い,ドキシサイクリンで外来治療したところ症状は速やかに軽快した.マイコプラズマ抗体PA法を用いてペア血清で診断した.C.pneumoniae抗体についてはペア血清にて有意な上昇を認めなかった.
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