#総合診療
#書評:≪ジェネラリストBOOKS≫認知症はこう診る—初回面接・診断からBPSDの対応まで
宮岡 等
1
1北里大学病院 精神神経科
pp.1524
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202421
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認知症患者数が急増するなか、総合診療医・家庭医といった非専門医が、認知症専門医と良好な連携をとりながら、認知症患者を診ることが求められている。しかし自治体から認知症疾患医療センターを委託されている病院の精神科医である評者は、「物忘れを訴えたら、脳画像検査を実施され、認知機能の十分な評価なしに、抗認知症薬を処方された」「高齢者施設で少し興奮したら、話も聞かれることなくBPSD(行動・心理症状)と診断され、抗精神病薬を出された」「認知症の治療中に憂うつ感と不眠を訴えたら、すぐ抗うつ薬と睡眠薬を処方された。薬の種類は増え、かえってぼーっとしている」「あの医師は認知症を専門に診ていると言うが、生活面のアドバイスを何もしてくれないし、地域にどんな社会資源があるかも知らないようだ」などの不満を、患者や患者家族、認知症ケアに当たる医師以外のスタッフから聞くことが多い。問題は、認知症の過剰診断、抗認知症薬の過剰処方、薬物療法以前の基本的な対応不足などに集約されるであろう。各自治体ではかかりつけ医を対象とした認知症対応力向上研修が開催され、認知症に関する書籍も数多くあるが、認知症の診断と治療における課題はなかなか改善されない。
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