#総合診療
#書評:《ジェネラリストBOOKS》糖尿病・内分泌疾患の常識&非常識
三澤 美和
1
1大阪医科薬科大病院総合診療科
pp.46
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350010046
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前半の糖尿病の食事療法を読み始めると、岩岡秀明先生が普段患者さんと笑顔で話している診察室の会話が見えてくるような気分になる。「果物は1日に握りこぶし1個分」「(コーヒーは)無糖にしないとだめだよ」「時々は記念日をつくろう」。患者さんの気持ちをおもんぱかりながら、丁寧にアドバイスする様子が目に浮かぶ。そこに中山久仁子先生が誰でも抱くような素朴な疑問を投げかけ、また丁寧な解説が続く。対話形式の内容を読み進めると、いつしか自分の診療を一番底のほうからいったんすくい上げて見直しているような気持ちになった。
「あ〜そうそう、そうだった」と思わせられる重要なエビデンスしかり、「最近はそうなってたんだ」という新しい発見しかり。糖尿病の薬物療法には多くのページが割かれ、丁寧に疑問に答えてくれる。意外とあいまいにしてしまいがちな高尿酸血症についても言及されている。しかもこの本は糖尿病だけにとどまらず、日常でよく出合う内分泌疾患の素朴な疑問にも答えてくれている。甲状腺や副腎、日常的に出合う頻度が非常に高い骨粗鬆症。内分泌だけを特集した分厚い教科書と格闘するよりずっと、知識としてすんなり入ってくる。また会話から中山先生が普段どのような診療をされているかも垣間見え、プライマリ・ケア医としてどこまでが必要とされているのかを確認できる。プライマリ・ケアの良き理解者である岩岡先生と、現場の家庭医である中山先生が繰り広げる言葉のキャッチボールは、まるで自分が小さなカンファレンスにお邪魔したような気持ちにさせられた。
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