特集 困っている“あなた”に届く 認知症診療
【コラム 認知症診療トピックス】
❷ユマニチュードの実践
本田 美和子
1
1国立病院機構東京医療センター総合内科
pp.1498-1500
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202409
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臨床医として多くの患者さんにお会いする中で、認知症の方にお目にかかる機会も増えています。ご自分のことがよくわからなくなっていたり、検査や治療の意味が理解できなかったり、逆に私たちが理解できない言動をとってしまう患者さんに遭遇した時、私たちは途方に暮れてしまいます。私たちが届けたい医療やケアがどんどん発達していく一方で、それがご本人に拒絶されてしまうことも増え、現在の医療者には、私たちが届けたい医療を受け取ってもらうための技術を身につけることが必要になってきていることを痛感していました。
そんな時に、偶然、フランスにユマニチュードというケアの技法があることを知り、見学に行きました。そこでは、「あなたのことを大切に思っている」ということを、「相手が理解できるように伝える」ための技術が40年以上かけて作り上げられていて、この技法によって、たとえその相手が進行した認知症であっても、心身ともに脆弱な状況にあっても、患者と医療者との間に良い関係を確立させ、その結果、届けたい医療を受け取ってもらえることができることを知りました。
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