Editorial
「医師誘発性困難事例」の相談に乗る
藤沼 康樹
1
1医療福祉生協連 家庭医療学開発センター
pp.1173
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202287
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最近ある介護福祉関連のカンファレンスにアドバイザーとして参加した際、「どうしたらよいか困っている」と相談された。それは、某都市部のある高齢男性を担当しているケアマネージャーが抱えている事例であった。患者は妻と中年の息子の3人暮らしで、医学的問題点は、糖尿病、高血圧症、慢性心房細動、慢性心不全、脊柱菅狭窄症、脳梗塞後遺症、血管性認知症であり、直近数カ月で数回の自宅内転倒があるとのことであった。
患者は、当初随時血糖が500mg/dL前後あり、「これは大変だ」と糖尿病診療の専門施設を受診し、強化インスリン療法が開始された。いわゆる“4回打ち”である。インスリン量は自己測定した血糖値により頻回に投与量が変更され、その連絡とインスリン療法の実施のために、多くの介護リソースがさかれることになった。その診療施設は訪問診療をしていないため、車椅子での定期外来通院が必要で、かなりの手間と時間がかかっていた。担当医は非常に熱心で、HbA1cは当初の12%から8%に低下し、「良くなってきた、頑張った甲斐があったね」「これからも頑張ろう」との言葉をスタッフにかけていた。その後1年にわたって血糖の頻回の報告とインスリン投与量変更指示が続いているとのことであった。
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