「総合診療」達人伝|7つのコアコンピテンシーとその向こう側・1【新連載】
包括的統合アプローチ—統合的ケアの極意を求めて
吉村 学
1
,
奥 知久
2
1宮崎大学医学部 地域医療・総合診療医学講座
2諏訪中央病院総合診療科在宅地域ケアセンター
pp.104-110
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201872
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意を得て言を忘れ、理を得て教を忘るるは猶、魚を得て筌を忘れ、兎を得て蹄を忘るるが如し。
良医を目指し修練を続ける医師たち。
大いなる目的のために仕掛けを磨く毎日である。
総合診療に携わる我々は、一体何を学ぶべきか?学んだその先に、何が待っているのか?総合診療の達人を尋ね、そのヒントを探りましょう。
はじめに
「ごちゃまぜの達人」。吉村 学先生(宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座教授)を人はこう呼ぶ。前任地の岐阜県揖斐郡でも「ごちゃまぜ」「むちゃぶり」という手法(!?)で多くの若手医師や多職種の教育に関わってきたのはご存知の方も多いと思う。今回、本連載1回目「包括的統合アプローチ」の極意を求めて、吉村先生のいる宮崎県まで飛んだ。
吉村先生は、「IPE/IPW」(一口メモ1)1)の実践で著名な医師である。IPEとはもちろん「連携」のための教育である。
いま、総合診療医が地域包括ケアにおける多職種連携の担い手として期待されていることも確かであろう2)。しかし、連携の真の目的は「統合的なアプローチ」で、多職種や住民の力を引き出しつつ、複雑な問題に対処することではないだろうか。
「吉村達人は連携に一体何を見出し、どのように統合ケアを実践しているのか?」をテーマにして、達人の臨床現場から学ぶことが今回の訪問の目的である。
本稿ではまず、達人の現場レポートと、達人へのインタビューを掲載し、最後に筆者なりの補足とまとめを加えたい。
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