特集 80歳からの診療スタンダードUp to Date—Silver Standard
【80歳以上の高齢者の外来診療 ここがポイント!】
糖尿病診療スタンダードUp to Date
原 興一郎
1
,
宇都宮 一典
1
1東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科
キーワード:
低血糖
,
エネルギー摂取
,
サルコペニア
,
肝・腎機能低下
Keyword:
低血糖
,
エネルギー摂取
,
サルコペニア
,
肝・腎機能低下
pp.1053-1056
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201636
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治療に入る前に
近年、2型糖尿病の患者数は増加の一途をたどっており、そのなかでも高齢者の占める割合が大きくなっている。高齢者の糖尿病患者には、若年者の糖尿病患者とは違った問題点があるが、今後より一層、高齢者糖尿病患者の割合が増えることが予想されるため、適切な対処が求められる。
治療方針を考えていくうえで、まず高齢者総合機能評価をしなくてはいけない。すなわち身体機能、認知機能、精神・心理機能、社会・経済状況の評価である。2016年5月に日本糖尿病学会と日本老年学会の合同委員会により高齢者糖尿病の血糖コントロール目標が作成されたが、ADL(activities of daily living ; ADLは着衣、移動、入浴、排泄などの「基本的ADL」と、買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理などの「手段的ADL」に分けられる)や認知機能により、治療目標が変わってくる(図1)。目標のHbA1cの上限が緩和され、下限が設けられる症例もあるため、症例ごとに正確に状態を把握して管理目標を設定していき、そのうえで以下に留意しながら治療を行っていく。
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