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はじめに
「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010」は,糖尿病診療における実践的な治療の指針を単に示すのではなく,糖尿病関連領域のエビデンスを集めたものである.各章は,診療の指針となるステートメントをまず挙げ,次にその解説からなる.さらに,ステートメントの根拠となる臨床研究に関する文献を,アブストラクトテーブルとして各章ごとに示してある点が特徴である.各ステートメントには,推奨の強さとしてのグレードが付けられ,根拠となる臨床研究のエビデンス水準も示されているが,対応する文献がない場合には,文献情報に基づかずコンセンサスとされている場合もある.エビデンス水準が高い場合とは,十分な症例数のランダム化比較試験やそのシステマティックレビューまたはメタアナリシスに基づく場合である.エビデンス水準が高い研究に基づくステートメントは推奨グレードが高くなるが,コンセンサスであっても強く推奨されるべきと判断される場合は,グレードが高くなることはある.
本特集の目的は,各ガイドラインでのリハビリテーションの位置づけやリハビリテーション実施上での注意点などを示すことである.日本において糖尿病または糖尿病が疑われる人が2,000万人を超えていることや,リハビリテーションの対象となる脳血管疾患などが糖尿病の主な合併症であることから,糖尿病患者はリハビリテーションの主な対象者である.糖尿病治療ガイドライン2010において,糖尿病患者のリハビリテーション上でのエビデンスや,リハビリテーションにおける指針は示されていない.しかしながら,糖尿病患者の特殊性を理解したうえでリハビリテーションを行うことが,その有効性を高め安全に行うために必須である.本稿では,本ガイドラインの中から,糖尿病治療の目標と指針1),高齢者の糖尿病2),糖尿病足病変3),と筆者らが担当した運動療法4)の各章を中心に,糖尿病患者のリハビリテーション上重要と考えられる事項につき解説する.
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