連載 リハビリテーション医療に必要な薬物治療・第4回
糖尿病
的場 圭一郎
1
,
宇都宮 一典
1
Keiichiro Matoba
1
,
Kazunori Utsunomiya
1
1東京慈恵会医科大学内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科
キーワード:
糖尿病血管合併症
,
低血糖
,
SGLT2阻害薬
Keyword:
糖尿病血管合併症
,
低血糖
,
SGLT2阻害薬
pp.385-387
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201617
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はじめに
リハビリテーション訓練を実施する場面において,糖尿病患者に接するケースは多いと思われる.糖尿病は世界的に増加傾向にあり,わが国でも生活習慣の欧米化と急速な高齢化によって患者数が増加し,大きな社会問題となっている.この患者増加の背景には,検診の普及による糖尿病診断率の上昇や,加齢に伴うインスリン分泌能低下が考えられる.
糖尿病はインスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群であり,細小血管合併症(網膜症,腎症,神経障害)および動脈硬化性疾患(冠動脈疾患,脳血管障害,末梢動脈疾患)を生じる.これらは日常生活の質(quality of life;QOL)を低下させ,生命予後を悪化させることから,血糖値のみならず血圧,血清脂質,体重を包括的に管理して合併症の発症・再発を抑制することが重要である.そのためには多職種からなるチームアプローチが効果的であるが,そのなかでもリハビリテーションは糖尿病合併症によって生じた身体機能や生活機能の改善に果たす役割が大きい.しかし,糖尿病では使用している薬物や合併症の程度によって留意すべき事柄が多数ある.本稿ではリハビリテーションの場で必要な糖尿病の薬物療法について概説する.
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