連載 とらうべ
21世紀と女性
北谷 勝秀
1
1子供と地球の未来のために「2050」
pp.5
発行日 1995年1月25日
Published Date 1995/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903349
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もうすぐ21世紀のお出ましである。今世紀には,人類は世界大戦を2回経験し,廃墟から立ち上がった。日本は,帝国主義から民主主義へ転身をし,貧乏国から金持ち先進国となり,世界一の長寿国となった。大変な進歩をしたわけである。反面,払った代償も大きい。都会は車で身動きがとれず,私たちの吸う空気は汚れているし,安心して飲める水も限られている。オゾン層破壊で,人類は皮膚癌や白内障に脅かされている。雨が降托ば酸性雨,地球温暖化で水不足,未曾有の環境破壊とゴミの山に取り巻かれて住んでいるのが現代人である。人口爆発,増大一方の貧困層,加えて,地球規模での環境汚染や頻発する地域紛争で,心の休まる暇もないのが世界の実状である。
確かに私たちは物質的には豊かになった。でも,生活の質そのものはどうだろう。決して豊かになっているとは思えない。寿命は延びたものの,老人の多くは半病人または病人である。生活は便利になったが,同時にそれは環境破壊をも意味している。食事は? 高カロリー.高蛋白,添加物のどっさり入った食品で,いたずらに成人病を増やしている。人々は金儲けに狂奔,あまり他人のことに心を遣わない。この豊かな生活の犠牲になるのが地球であり,私たちのあとに続く世代であろう。悲しいことである。
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