みるトレ Special・8
春から初夏にかけての呼吸器感染症アウトブレイク?
笠原 敬
1
1奈良県立医科大学 感染症センター
pp.1115-1118
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201076
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CASE 8
患者:70歳代、男性。
主訴:咽頭痛、鼻汁、咳嗽、喀痰、発熱、呼吸困難。
現病歴:2月下旬に脳梗塞を発症し、3月下旬にリハビリテーション目的に介護老人保健施設に転所した。4月30日から咽頭痛と鼻汁とが出現し、5月2日から発熱が出現した。施設のかかりつけ医を受診し、クラリスロマイシンが投与されたが本日になっても症状が改善せず、呼吸困難も出現したため5月5日に当院を受診した。なお、同じ施設では、この1週間くらいで、職員および入所者約20名が同様の症状を呈している。多くはすでに解熱し改善傾向にあるそうだが、強い咳嗽がしつこく残っている者が数人いるらしい。
身体所見:体温38.2℃、呼吸数18回/分、SpO2 92%(室内気)。右中下肺野でcoarse cracklesを聴取する。
検査:血液検査;WBC 11,000/μL(Stab 9%、Seg 54%、Lym 19%、Mono 18%)、CRP 12.1mg/dL。
胸部単純X線写真(ポータブル)(図1)、胸部単純CT写真(図2)を示す。
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