目でみる耳鼻咽喉科
花粉症原因植物と花粉—(II)春から初夏
佐橋 紀男
1
,
幾瀬 マサ
1
1東邦大学薬学部生薬学教室
pp.438-441
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209968
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
花粉症原因植物は春先から5月くらいまでが多くは木本類の風媒花である。5月から7月にかけて,浮遊花粉数は木本類に及ばないが,草本類の風媒花の中でも重要なものがイネ科をはじめとして知られている。今回は前回に引き続き木本類として4月中旬から5月中旬に多くの花粉を飛散させる裸子植物のイチョウ,クロマツ,アカマツ,それに尾状花序を形成し比較的多くの花粉を飛散させるクルミ科のテウチグルミ,ニレ科のケヤキ,カバノキ科のイヌシデ,ブナ科のコナラ,クヌギの8種類,さらに5月中旬から7月中旬に草本類としてイネ科のカモガヤ,ガマ科のガマ.ヒメガマ.オオバコ科のヘラオオバコの4種類計12種類を紹介する。
今回紹介できなかった春から初夏の花粉症原因植物として重要視されているものに木本類では本欄で取り上げた以外のクルミ科のクルミ属,カバノキ科のクマシデ属,ブナ科のカシワ属,クリ属,シイノキ属,アカガシ属,それにニレ科のニレ属,クワ科のクワ属なども注目すべき種類が欧米では知られている。一方草本類では北欧での主要花粉症原因植物としてイネ科の牧草が知られている。日本でもカモガヤ以外にオオアワガエリ(チモシー)やオニウシノケグサ(フエスキュー)などがすでに北海道などから知られているが,主食のイネの花粉もその栽培面積からかなり抗原となっているものと思われる。またタデ科のヒメスイバ,ギシギシ,キク科のハルジョオンも報告されている。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.