Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー! クスリとリスク・10
薬剤性肝障害
上田 剛士
1
1洛和会ヘルスケアシステム 洛和会丸太町病院 救急・総合診療科
pp.84-89
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200734
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症例
患者:53歳、女性。
現病歴:10日前から嘔気、軟便、発熱が出現した。8日前に「急性胃腸炎疑い」にて整腸剤とNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の処方を受けた。軟便は消失し解熱もしたが、食欲低下が進行するために再受診した。
特記すべき既往なし。常用薬なし。機会飲酒。
身体所見:眼球結膜黄染なし。心窩部の軽度圧痛と肝叩打痛を認めた。
検査所見:T-Bil 1.6mg/dL、AST 516U/L、ALT 311U/L、LDH 364U/L、ALP 487U/L、γGTP 85U/Lと、肝障害を認めた。腹部超音波検査で肝胆道系に特記すべき異常所見なし。
急性肝障害の精査目的で入院となった。薬剤を中止したところ3日後に食欲は回復し、2週間後に検査所見はほぼ正常化した。各種ウイルス検査は陰性で、「薬剤性肝障害」と考えられた。
Q:「薬剤性肝障害」の診断は、どのようにすればよいでしょうか?
また重症化の予測に有用な指標はありますか?
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