特集 感染症ケアバンドル・チェックリスト
【不明熱および敗血症ケアバンドル・チェックリスト】
院内不明熱患者の診断・治療
成田 雅
1
1沖縄県立中部病院感染症内科
キーワード:
医療関連感染症
,
感染症診療の原則
Keyword:
医療関連感染症
,
感染症診療の原則
pp.560-564
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200580
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入院時に感染症は存在しなかった患者─入院中に38.3℃以上の発熱が数回出現し,2日間の培養検査も含め,3日間の入院精査でも原因不明の時のアプローチ
Case
見逃された偽膜性腸炎
患者:72歳,男性.
主訴:食思不振.
既往歴:前立腺肥大.
現病歴:耕うん機に両足を巻き込まれ,下肢切断は免れたものの,壊死組織の外科的除去,植皮術を施行.創部よりMRSA,多剤耐性緑膿菌が検出され,バンコマイシン,メロペネムを3週間使用した.その後食思不振,発熱(38.5℃),腹部膨満感出現.経過観察していたが,症状改善せず.尿培養ともに大腸菌(ESBL産生)が検出されたことから,「尿路感染症」と診断され,再度メロペネムが投与された.この時CDトキシン検査を施行するも陰性.37℃台の発熱が持続した.全身浮腫(anasarca),腹部CT上腹水貯留が認められた.白血球45,000/μlまで増加,腹腔内膿瘍が疑われ開腹ドレナージが施行されるも,多核白血球を認めるのみで,培養結果は陰性.その後ショック状態となり,集中治療室へ転床.全身状態は改善せず,持続透析を行い,昇圧剤を使用するも死亡.剖検所見にて大腸全体の偽膜を認めた.
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