特集 フィジカル改革宣言! ──診断からフォローアップまで
【部位別極意!何を意識して診ているか?】
—腹部—研修医に「うまい」と言わせる“小さな一歩”の踏み出し方
山中 克郎
1
1諏訪中央病院 内科総合診療部
キーワード:
腹痛の問診・視診・聴診・触診・打診
Keyword:
腹痛の問診・視診・聴診・触診・打診
pp.123-127
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200461
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Case
腹部診察により感染症のフォーカスが明らかになった一例
患者:82歳,男性.認知症はあるが,杖を使って散歩もできる元気な高齢者.
現病歴:昨日昼から,38℃台の発熱がある.今朝から,食欲が落ちている.元気がないので心配になり,家族が救急室に連れてきた.痛みの訴えはない.咳なし.下痢なし.
既往歴:糖尿病と高血圧のため,自宅近くの診療所に通院中.糖尿病のコントロールは良好.
バイタルサイン:体温38.6℃,血圧112/62mmHg,脈拍数92回/分,呼吸数20回/分.
身体所見:頭頸部に異常所見なし.心雑音なし.呼吸音清.腹部は軟で圧痛なし.皮膚に発赤なし.右季肋部に当てた左手の上から右の手拳で叩打すると,痛そうに表情が変化した.
検査所見:腹部エコーで検査すると腫大した胆囊と胆囊壁の肥厚,胆泥貯留が見つかった.血液培養は陰性.
診断と治療:急性胆囊炎.抗菌薬投与により症状は改善し,退院となった.
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