Editorial
レア疾患のシステム1診断
徳田 安春
1
1地域医療機能推進機構(JCHO)本部
pp.989
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200379
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臨床推論の最新知見は,2重プロセス理論(dual processing theory)を支持している.この理論は,医師は「システム1(直観的推論)」と「システム2(分析的推論)」を文脈に応じて使い分けているとする.それぞれの長所としては,直観的推論は迅速で省力的で,分析的推論は網羅的でバイアスに陥りにくい.一方で,それぞれの短所としては,直観的推論はバイアスによるエラーに陥るリスクが高く,分析的推論は時間が余計にかかり認知的負荷も大きい.
診療場面別でみると,救急診療などの場面では迅速な判断が必要とされるので,直観的推論の正確度を上達させる必要がある.エキスパートによる迅速な判断の実際を研究しているGary Kleinによると1),熟練者はまず直観的推論を行い,その仮説(診断)に基づく脳内シミュレーションによる迅速な検証で「この患者に適合する」ことがわかれば,その仮説を選択しているという.
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