特集 健診データで困ったら─こんな検査結果を持ってこられたら
【各論】
7.血清ペプシノゲン検査が異常と言われたら
一瀬 雅夫
1
,
前北 隆雄
1
,
加藤 順
1
1和歌山県立医科大学附属病院 第二内科
キーワード:
ペプシノゲン
,
Helicobacter pylori
,
萎縮性胃炎
,
リスクマーカー
,
胃癌検診
,
胃癌ハイリスク
Keyword:
ペプシノゲン
,
Helicobacter pylori
,
萎縮性胃炎
,
リスクマーカー
,
胃癌検診
,
胃癌ハイリスク
pp.758-761
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200311
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Case
健康診断で血清PG陽性の56歳男性
患者:56歳,男性. 自覚症状:なし.
家族歴:母親が72歳時に胃癌で死亡.
現病歴:最近,高血圧傾向を指摘されているほかは,著患は認めず.服薬なし.
5年前,勤め先の健康診断で,血清ペプシノゲン陽性(PGⅠ 5ng/ml,PGⅡ7ng/ml,PGⅠ/Ⅱ比0.7)を指摘されて以来,紹介先の診療所で毎年胃内視鏡検査を受けているが,特に異常を指摘されずに経過している.今年も胃内視鏡検査を受けるように通知が来たが,つらい検査を毎年受ける必要があるのかと意見を求めている.
血清PG値は,胃癌の存在を示す腫瘍マーカーではない.胃癌リスクの指標である.判定基準では,強陽性(PGⅠ値≦30μg/lかつPGⅠ/Ⅱ比≦2.0)に該当し,「高度萎縮性胃炎」の存在が示唆される.胃癌発生年率約0.4%の“胃癌ハイリスク”に相当することを説明,胃内視鏡による精密検査を毎年受けることが望ましいとご理解いただいた.
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